病院の予算要求で比較される資料は、提案書と見積書がつながっている

病院向けの予算要求で説明しやすい資料にするコツは、提案書と見積書を別々に整えるのではなく、導入目的、対象業務、投資額、導入期間、期待効果、前提条件の対応関係を明確にすることです。

とくに意識したいのは、提案書に書いた効果や導入範囲と、見積書の各費目との対応関係を確認できるようにすることです。決裁者が確認したいのは「何を導入するか」だけではありません。「なぜこの金額になるのか」「いつ使い始められるのか」「導入後に別の費用や作業が発生しないか」まで説明できる資料が必要です。

提案書に最低限そろえる6項目

最低限の構成は、次の順番にすると必要な情報を順に確認しやすくなります。病院ごとの様式や調達手続がある場合は、それを優先してください。

項目提案書に書く内容営業担当者が確認すること
導入目的どの業務を、どの状態へ変えたいのか現場の要望なのか、経営上の課題なのか
対象業務・範囲対象部署、利用者、対象機能、対象外の範囲既存システムや運用との境界
投資額初期費用、継続費用、費用の発生時期見積書の各明細と対応しているか
導入期間要件確認、設定、連携、テスト、教育、稼働までの工程病院側が担う作業と期限
期待効果現状値、評価指標、算定方法、測定時期導入前後で何を測るか
前提条件必要な機器、連携条件、データ、体制、除外事項条件が変わった場合に金額や期間が変わるか

導入目的は「業務を効率化する」だけで終わらせません。たとえば、入力作業を対象にするなら、対象部署、現在の作業量、導入後に測る時間や件数まで書きます。現状値を病院から確認できていない場合は、推定値として扱わず「要確認」と分けてください。

効果は金額だけでなく、測定方法まで示す

期待効果を大きく見せると、稟議で確認される前提が増えます。提案書では、次の4点を一組にして記載します。

現状値

作業時間、処理件数、入力項目数など、病院が確認できる数値

評価指標

導入後に比較する時間、件数、エラー数など

算定方法

どの期間・対象部署・件数で比較するか

測定時期

稼働直後か、運用が定着した後か

厚生労働科学研究費補助金のICT・ロボットの導入・運用に伴うコスト並びに効果測定に関する調査では、調査対象となった12病院について、RPAや電子問診など業務を直接置き換えるタイプでは業務時間を測る例が確認されています。一方、複数の施策が同時に変わる場合や、短縮した時間を情報入力の充実など別の業務へ回す場合は、単純に導入効果だけへ結び付けにくいとされています。

したがって、「年間で大幅なコスト削減が見込める」と断定するのではなく、「現状の月間件数と1件あたりの所要時間を確認し、稼働後に同じ条件で比較する」と書く方が、予算の根拠として扱いやすくなります。金額換算の前提がそろわない場合は、時間や件数の変化を評価指標として残してください。

見積書は初期費用・継続費用・対象外を分ける

見積書では、一式表記を減らし、提案範囲と照合できる明細にします。医療機関のICT導入に関する調査では、デバイス、ソフトウェア・ライセンス、電子カルテなどとの接続費用、ネットワーク工事、サーバー、保守、研修などが費用構成として挙げられています。

記載候補は次のとおりです。

  • 初期費用:機器・デバイス、ソフトウェア設定、導入作業、連携・改修、ネットワーク工事
  • 継続費用:ライセンス、サーバー、保守、運用支援、更新に伴う費用
  • 導入準備費用:データ移行、教育・研修、マニュアル作成、テスト支援
  • 条件付き費用:既存システム側の改修、追加端末、追加拠点、必要な場合の処分費・保険料
  • 対象外:病院側で実施する作業、別途契約が必要な作業、未確定の連携費用

月額、年額、契約期間全体の総額を並べると、初年度の予算と次年度以降の負担を分けて確認できます。実際の調達例でも、器具費用、施工費、処分費、メンテナンス費、保険料などを分け、月額・年額・総額を記載する形式が示されています。市立御前崎総合病院の提案・見積書作成例を参照しつつ、商材に該当しない費目は無理に追加しないでください。

病院情報システムの調達例では、7年間の保守業務を含む契約や、役務提供に要する諸経費を含めて契約金額を見積もる条件もあります。国立病院機構舞鶴医療センターの入札公告のように、保守期間や契約条件は案件ごとに異なるため、年数を一律に当てはめず、病院へ確認した条件を見積書へ反映します。

見積提出前に、確認先と質問を分ける

見積書を先に出すと、後から連携費用や病院側の作業が追加されることがあります。確認先ごとに質問を整理し、回答を提案書と見積書の両方へ反映してください。

確認先の例確認する質問資料への反映
現場部門対象業務はどこか、誰が使うか、現状の件数・時間は何か導入目的、対象範囲、評価指標
医事・経営企画予算要求の時期、比較する費目、効果を説明する単位は何か投資額、効果の算定方法
情報システム部門既存システム、連携方式、端末・ネットワークの条件は何か前提条件、連携費用、導入工程
事務・調達部門見積様式、調達方法、税込・税抜の扱い、提出期限は何か見積書の形式、契約条件
決裁者・責任者導入判断で比較する選択肢と、避けたいリスクは何か比較表、対象外、運用体制

デジタル庁の調達仕様書でも、工程ごとの計画、成果物、スケジュール、前提条件、制約条件、関連事業者との役割分担、外部システムとの連携を記載する考え方が示されています。病院の調達へそのまま適用するのではなく、調達仕様書を確認項目の漏れを防ぐ材料として使うとよいでしょう。

提案先を絞り込んでから、病院ごとの資料を作る

複数の病院へ提案する場合、すべての施設へ同じ提案書を送るのではなく、対象地域、施設種別、診療科、DXや在宅対応などの項目で候補を分けると、導入時に確認する項目を整理しやすくなります。ただし、施設情報だけで導入意向や予算の有無を判断してはいけません。連絡時に現状業務、予算時期、既存システムを確認するための仮説として使います。

GasoLeadは、全国または市区町村単位で地域を指定し、病院・クリニックの候補を比較できます。電話・FAX・管理者など必要な項目を選び、CSVで取得できるため、提案先の一覧化や営業担当者への配分を先に進められます。DXや在宅対応などの項目を使って候補を絞り込んだ後、施設ごとに「確認する業務」「質問する相手」「提案書へ反映する条件」を営業リストへ記録すると、資料作成の対象を決めやすくなります。

GasoLeadは提案書の中身ではなく、検索・転記・整形・候補選定の作業を減らし、病院ごとの確認と提案書作成へ移るための営業先データを準備します。

提出前に確認するチェックリスト

  • 提案書の導入目的と見積書の費目が対応している
  • 対象部署、利用者、対象外の範囲を記載している
  • 初期費用と継続費用を分け、月額・年額・総額を確認できる
  • 連携、ネットワーク、端末、教育、保守の費用条件を確認している
  • 効果の現状値、指標、算定方法、測定時期を区別している
  • 病院側の作業、必要な体制、前提条件、未確定事項を記載している
  • 予算時期、調達方法、提出様式、決裁者の確認事項を把握している

まとめ

病院の予算要求向け資料は、投資額を目立たせるより、目的・範囲・期間・効果・条件と見積明細を対応させることが先です。まず、提案書の6項目を埋める前に、対象部署、既存システム、予算時期、評価指標を確認し、その回答を見積書の費目と導入工程へ反映してください。