歯科メーカーとディーラーのサンプル営業分担は「医院の希望」を起点に決める

サンプル申込後の担当者を、申込経路や担当エリアだけで機械的に割り当てると、メーカーとディーラーが別々に医院へ連絡するおそれがあります。先に決めるべきなのは、誰が売るかではなく、医院への連絡窓口を誰にするかです。

実務では、次の順番で主担当を決めると整理しやすくなります。

  1. 医院が希望する連絡先
  2. 既存取引のあるディーラーと販売範囲
  3. サンプルの申込経路
  4. 担当エリア
  5. 契約上の販売範囲やメーカーの支援範囲

医院の希望が確認できない場合は、既存取引と契約上の販売範囲を確認し、その後に申込経路とエリアを基に割り当てます。サンプルを送った会社と、商談を担当する会社が異なる場合もあるため、発送担当と商談主担当は別項目で管理してください。

ケース別に主担当と支援担当を分ける

主担当は、医院への初回連絡、試用状況の確認、商談日程の調整、次回アクションの記録まで担う窓口です。もう一方の会社は、製品説明、価格確認、納品条件の確認など、必要な場面だけ支援担当として入ります。

申込後に確認できた状況医院への主担当もう一方の役割記録する判断理由
医院が特定のディーラーとの連絡を希望している希望されたディーラーメーカーは製品説明や技術支援医院の希望、確認日
既存取引のあるディーラーがあり、販売範囲にも含まれる既存取引のディーラーメーカーは商材説明や同行取引先、販売範囲、担当者
メーカーの申込窓口から入り、既存ディーラーが確認できないメーカーディーラーは必要時に紹介または支援申込経路、既存取引の確認結果
エリア担当のディーラーが決まっている契約や社内ルールで指定された担当者メーカーは引き継ぎと説明を支援担当エリア、適用ルール
重複申込、担当不在、販売範囲の不明点があるいったん申込を受けたメーカーディーラーは確認後に担当保留理由、再割り当て日

この表を営業管理に登録し、担当者名だけでなく「なぜその会社が主担当なのか」まで残します。担当変更が起きたときに、別の営業担当者が同じ医院へ再確認する手間を減らせます。

引き継ぎ前にそろえる5つの確認項目

サンプル申込を受けた担当者は、ディーラーへ転送する前に、次の項目を1件の申込レコードへまとめます。

  • 申込経路:メーカーサイト、ディーラー経由、展示会など
  • 医院情報:医院名、所在地、担当エリア、申込者の氏名・連絡先
  • 既存取引:取引中のディーラー、担当営業、過去の商談状況
  • 医院の希望:メーカー希望、ディーラー希望、希望なし、確認中
  • 販売条件:担当エリア、販売範囲、メーカーが直接対応する条件

ここで大切なのは、申込者の検討状況を自由記述だけで終わらせないことです。「サンプル受領前」「試用中」「使用後の確認待ち」「商談日程調整中」のように、次に何をするか分かる区分で登録します。

担当ディーラーへ渡す場合は、申込者の情報をそのまま一括転送するのではなく、引き継ぎに必要な項目を選びます。初回連絡に必要な情報と、商談開始後に共有する情報を分けておくと、共有範囲を確認しやすくなります。

医院情報をディーラーへ渡す前に、利用目的を分ける

氏名や連絡先など、個人に紐づく情報をメーカーからディーラーへ共有する場合は、「提携先だから渡せる」と一括りにせず、ディーラーがどの目的で扱うのかを確認します。

実務上は、次の3つに分けて整理します。

整理ディーラーの役割事前に確認すること
委託メーカーの依頼に沿って、サンプル後の連絡を代行する委託する業務、扱える情報、契約、メーカーによる管理・監督
共同利用メーカーとディーラーが定めた範囲で、一体的に利用する利用する会社の範囲、目的、情報項目、管理責任者などの通知・公表
第三者提供ディーラーが自社の営業や顧客管理に使う本人同意の要否、提供目的、提供項目、提供記録

共同利用は、単に同じ商品を扱う会社同士であることだけでは成立しません。利用範囲や目的、管理責任者などを、本人が確認できる状態にしておく必要があります。ディーラーが自社の営業目的で情報を使うなら、第三者提供としての整理を検討し、本人同意や記録の要否を確認してください。

申込フォームや案内文に、メーカーとディーラーのどちらから連絡する可能性があるか、共有する情報、利用目的を記載しているかも確認します。共有方法の整理が済んでいない申込は、メーカーが医院への連絡を続け、ディーラーへの共有可否を確認する運用にします。

営業管理には、少なくとも次を残します。

  • どの利用目的で共有するか
  • どの情報項目を共有したか
  • どの会社・担当者へ渡したか
  • 本人への通知や同意確認をいつ、どの方法で行ったか
  • 引き継ぎを受けた担当者と受領日時
  • 連絡結果と次回アクション

申込受付から初回連絡までの引き継ぎ手順

担当者の判断を個人任せにせず、メーカーとディーラーで同じ手順を使います。

  1. 申込を登録する 申込日時、申込経路、医院名、申込者、希望連絡先を登録し、重複申込を確認します。
  2. 主担当を仮登録する 医院の希望、既存取引、販売範囲、申込経路、エリアの順に確認し、主担当候補を1社に絞ります。判断できない場合は「保留」と登録します。
  3. 共有範囲を確認する ディーラーへ渡す情報、利用目的、本人への通知・同意確認の状態を確認します。確認できない情報は、いったん共有対象から外します。
  4. ディーラーが引き継ぎを受領する ディーラーは受領した日時、担当者、初回連絡予定日を登録します。担当できない場合は、理由を添えて返却します。
  5. 医院に窓口を案内する メーカーとディーラーの双方から別々に連絡せず、主担当が窓口を案内します。メーカーが支援に入る場合も、医院へ連絡する担当者を一人に決めます。
  6. 結果を共有する 初回連絡の結果、試用状況、質問、商談予定、次回連絡日を共通の申込レコードへ記録します。引き継ぎ完了を「送付済み」ではなく「担当者が受領し、次回行動を登録した状態」と定義すると、未対応を見つけやすくなります。

初回連絡の期限は、メーカーとディーラーの間であらかじめ決めます。期限を過ぎた申込は、メーカーが状況を確認し、担当者不在、医院の希望変更、別ディーラーへの再割り当てのいずれかを記録して処理します。

重複接触を防ぐ例外ルール

通常ケースだけでなく、判断が割れるケースを先に決めておくと、担当者同士の個別調整を減らせます。

例外ケースその場での処理医院への案内
メーカーとディーラーが同じ医院へ連絡している連絡履歴を確認し、主担当を1社に戻す次回からの窓口を1社に統一する
ディーラーが期限までに受領しないメーカーが保留理由を記録し、再割り当てを判断する連絡の遅れを説明し、希望窓口を再確認する
医院がメーカーとの直接商談を希望する希望を記録し、契約上の販売範囲を確認するメーカーが主担当、ディーラーが支援できる範囲を案内する
既存ディーラーがあるが、販売範囲が不明商談を進める前に契約・社内ルールを確認する確認が終わるまで主担当を確定しない
サンプル申込が重複している申込日時、商品、申込経路を照合し、1件に統合する医院へ確認する担当者を一人にする

重複時の優先順位は、受付時刻だけで決めないことがポイントです。医院の希望や既存取引を無視して「先に登録した会社が担当」とすると、医院の意向と販売ルールが食い違う場合があります。優先順位と例外処理を、メーカー・ディーラー双方が確認できる運用資料として共有しておきましょう。

電話で伝える内容を主担当ごとにそろえる

主担当が決まっても、メーカーとディーラーがそれぞれ別の説明をすると、医院は次に誰へ相談すればよいか分からなくなります。初回連絡では、サンプルの状況、担当窓口、メーカーが支援する範囲の3点を伝えます。

メーカーがディーラーへ引き継ぐ場合は、次のように伝えられます。

「○○歯科様のサンプル申込について、申込内容とご希望の窓口を確認しました。以後の試用状況の確認と商談日程の調整は、担当の○○株式会社・△△様が窓口です。製品仕様の確認が必要な場合は、弊社も連携して回答します。」

ディーラーが主担当になる場合は、製品の説明をすべて担うのではなく、メーカーとの役割分担を医院へ示します。

「○○メーカーのサンプルについて、今後のご相談窓口を担当します。試用中の確認や導入条件は私が伺い、製品仕様に関する内容はメーカー担当と連携して回答します。」

この電話例を使う前に、実際の販売範囲、共有済みの情報、医院の希望を営業管理で確認してください。確認できていない状態で、特定の会社が担当すると案内してはいけません。

申込前の営業リストも、メーカーとディーラーでそろえる

サンプル申込後の引き継ぎを整えても、申込前にメーカーとディーラーが同じ医院へ別々にアプローチしていれば、重複接触は残ります。営業開始前に、対象エリア、商材との適合条件、主担当候補を共通のリストで確認します。

GasoLeadでは、全国から市区町村まで地域を指定し、歯科DX、CAD/CAM、訪問歯科などの対応状況を見比べられます。電話、FAX、管理者・開設者、診療時間、歯科医師数・歯科衛生士数など、目的に応じた項目を選んでCSVで取得できます。

メーカーとディーラーで同じ項目構成のCSVを使えば、営業エリア別・商材別に候補を分け、営業リストへ主担当候補と接触状況を追加しやすくなります。たとえば、メーカーは製品適合条件の確認、ディーラーは担当エリアと既存取引の確認を行い、サンプル案内前に主担当を仮登録します。

ただし、営業リストの整備と、サンプル申込者の個人情報を引き継ぐ手続きは別です。GasoLeadで対象医院の候補をそろえても、申込後の本人への通知・同意確認、共有範囲、受領記録まで完了したことにはなりません。リストは申込前の対象整理に使い、申込後は別の引き継ぎルールで管理してください。

まとめ:最初に「主担当を決める順番」と「受領の定義」を合意する

歯科メーカーとディーラーのサンプル営業分担は、申込経路だけで決めず、医院の希望、既存取引、販売範囲、エリアの順に確認します。主担当を1社に絞り、もう一方は支援担当として扱うと、医院への窓口を保ちやすくなります。

最初の一手は、メーカーとディーラーで申込レコードの項目をそろえ、「担当者が受領し、初回連絡日と次回アクションを登録した状態」を引き継ぎ完了と定義することです。